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  • 執筆者の写真s-naka

卒論中間発表会part1が終わりました

更新日:2019年12月8日


スケジュール表(個人名削除)

いまさらですが,2019年7月3日に卒論中間発表会がありました。


今年度も7月と9月の2回に分けて卒論中間発表会が予定されており,7月の部では7名の卒論生が発表しました。(今年度の卒論生は全員で17名いますので,残りの10名は9月に発表)


今年度も社会心理学分野では基本的に質的研究を実施する予定です。理由は二つあります。


1. 社会心理において捉えるべきは「行動」ではなく「行為」であり,「行為」を捉える際には質的調査が適しているため


2. 人々の日常の営みを記述すること自体が重要であると考えているため


一般的に,心理学では要素的に心理現象を見ていきます。それでわかることもあるのだと思いますが,それをすることで失われるのは,人間の営みや生活そのものだと思っています。


たとえば,「友人関係の濃さと自尊心との関連」を研究しようと思ったとき,一般的には「友人関係の濃さ」と「自尊心」を測定して,相関を算出すると思います。


でも,「友人関係の濃さ」はどのような日常の中で生まれているのかとか,どのような友人間のやりとりが日々あるのかとか,そういったものは捨て去るわけです。


つまり「人間らしさ」は研究データからは消えてなくなり,研究結果から「人間らしさ」を考察で取り戻すわけです。しかし,そのようなことをしなくとも,単純に人々の日常を観察したり,話を聞いたりして,それを丹念に記述すれば「人間らしさ」はデータにも結果にも考察にも現れてきます。それこそが社会心理学にとって大事なことの一つであり,最近の社会心理学ではそのようなことがあまりなされていないのではないかと思っています。ですので,社会心理学分野では,丹念に人の日常を記述していくスタイルでいきたいと思っているわけです。


前置きが長くなってしまいました。本題の卒論中間発表会の話に戻ります。7月の部では2名の卒論生が発表しました(社会心理学分野の卒論生は全員で5名)。


大髙さんは「LGBTのカミングアウト:カミングアウトに至った理由と,家族の反応」についてです。LGBTとはレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの略称です。LGBT当事者が家族に自分がLGBTであると告げる(カミングアウトする)ことにはリスクが伴う(身体的・言語的な暴力を受ける可能性)とされています。それにも関わらず,LGBT当事者はどのようにしてカミングアウトに至るのか,そしてカミングアウトを受けた家族はどのように反応するのか,ということを検討する予定です。お話を聞かせてもらえる人がいらっしゃるのかどうか少し不安もありますが,重要なテーマだと思いますので,しっかり研究を進めたいと思っています。発表では若干言葉に詰まる場面もありましたが,全体的に自分で考えながら話せていたように思います。


中西さんは「自己開示に関する場所選択の要因とその背景:空間のもつ意味から」についてです。身近な疑問「どのような状況であっても人生についての深い話はできるし,聞きたい。でも,重い話だからやめようってなるのはどうして?」を出発点として,状況を整えないと自己開示にしにくい理由についてアプローチしていきます。「どのようにしてそうなったのか」というその人がその状態に成った理由を記述できたらいいなと思っています。中西さんも自分の考えをしっかり自分で言葉にしていました。考えなければならない点はまだありますので,今後どのように成っていくのかが楽しみです。


残りの3名は9月の部で発表です。それに向けて頑張りたいと思います。


## 先日夢ナビに出演しました。その後に,第16回高校生ラップ選手権Novel core vs Red eyeを拝見しました。「表現者として失格だな」というRed eyeの振る舞いを含めたパンチラインは私にも刺さりました。これを見た後に夢なびに出演していたら,私はもっといい表現者に成れていたのに....(でも,この偶然を楽しみたいとも思っています)。


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