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  • 執筆者の写真s-naka

広報誌「あうる」におすすめ本紹介が載りました


小さい頃,どちらかというと読書はしませんでした。読むのは漫画くらいで,読書らしい読書をした覚えがありません。なので,ハリーポッターを読んだこともなければ,村上春樹を読んだこともないですし,夏目漱石も読んだことはありません。


大学に入ってからも活字を読むことはほとんどありませんでした。大学院に入ってから論文を読むことはあっても本を読むことは滅多にありませんでした。


ですが博士課程の修了が近づいてきてから,論文よりも著者の考えが主張されやすい学術書の方が面白く感じてきて,そこからだんだんと本を読むようになりました。


本を読むようになってから強く思うのが「もっと本を読んでおけば良かった」ということです。当たり前ですが,時間は有限ですので,10歳から本を読んでいた人の生涯読書量と,30歳から本を読み始めた人の生涯読書量は,読書ペースが同じであれば早い年齢から読んでいた方が圧倒的に増えるわけです。もちろん読書は単純な量ではありませんが,量が増えることによって本同士のつながり(この本とあの本は似ているな,とか)の数も増える可能性が高まるわけで,そういう意味では量が増えることで読書体験も質的に異なる可能性も増えるわけです。


このような想いがあるので,インスタで書評を始めたり(著者の方にはいい迷惑かもしれませんが...),書評の依頼があれば積極的に引き受けようと思っていました。あ,インスタに関しては自分の読書記録という側面もあります。


そのような考えにあるときに,図書館職員のSさんから「高知大生におすすめの本の書評を書いてもらえませんか?」という依頼を受けました。正確に言うと,「こういう企画があるのですが,もし良かったら書いてもらえるとありがたいんですけど〜」という雑談があったので,「良いですよ」と快諾しました。快諾というよりも,食い気味に僕からむしろ引き受けさせてください,という勢いだったかもしれません。


このような経緯で,高知大学の学術情報基盤図書館広報誌「あうる」に『高知大生に薦める本』としておすすめ本を紹介させていただくことになりました。


おすすめ本として候補は2冊考えていました。『はじめての沖縄(岸政彦)』と『裸足で逃げる(上間陽子)』です。


『はじめての沖縄』は私の研究者人生を方向づけた1冊です。生活史調査というものを知り,この調査手法を利用しながら恋愛論を考えていこうというきっかけを与えてくれた本でした。


『裸足で逃げる』は岸先生が絶賛していた本で,その流れで知って購入しました。はじめて読んだ時は涙がとまりませんでした。私が沖縄出身ということもあってイメージしやすかった部分もあるかもしれませんが,それでも読んでいて色々と情景が浮かんできて,このような事実を知らなかったことに申し訳なさと不甲斐なさと憤りと,様々な感情を感じました。


どちらにしようか数日悩んだのですが,『はじめての沖縄』は岸先生の研究文脈の中で位置づけられた方がより面白く読めるだろうと考え(つまり,私自身がもう少し学生とインタラクションできる状況で紹介した方が良いと判断し),『裸足で逃げる』を紹介することにしました。この本が持つ「面白さ」を多くの人に知ってもらいたいという想いもありました。


というわけで『裸足で逃げる』をおすすめ本として紹介しました。実際の記事はこちら



はじめて読んだときはこの本についてどのように言葉にしていいのかわからなかったのですが,紹介するにあたり改めて読み直して,自分なりに言葉にしてみました(読み直したときもまた泣いていたのですが...泣きながら頭使うって難しいです....)。


少しでもこの本を手に取ってくれる人が増えて,少しでも色々なことに想いを巡らせる人が増えてくれるといいなと思っています。



##最近気づいたのですが,生活史調査に興味を持ち出すと感受性が豊かになる気がします。


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